JA広島市の概要
ごあいさつ
組合員のみなさまにおかれましては、平素よりJA広島市の各事業に対し、格別のご理解とご協力を賜り心より厚くお礼申し上げます。
農業を取りまく環境は、「農政の憲法」と称される「食料・農業・農村基本法」について、「食料安全保障」の確保を基本理念とし、食料の価格形成における「持続的な供給に要する合理的な費用」を考慮する考え方を位置付ける改正が行われます。農業に関する重要度は増しているものの、JA広島市の管内は、中山間地域が大部分を占め、地形や地域的悪条件から離農が進み、さらに農村社会の維持が困難になる地域があるなど、非常に厳しい状況となっています。こうした状況を踏まえ、生産者とともにJAグループと一体となって、地域の農畜産物のブランド力向上や市場拡大に取り組み、スマート農業、データ解析などの最新技術の導入活用により生産性の向上や経営の効率化の推進など、第7次営農振興計画の基本目標である「持続可能な地域農業の実現」に向けて取り組んでいかなければなりません。
こうしたなか、令和5年度は、JA広島市が発足して30周年を迎え、6月および12月に全信用店舗で「感謝デー」を開催し、30周年記念定期貯金の発売や、記念旅行、特別価格での購買企画など、組合員や地域のみなさまへの感謝の気持ちを込めて「農」や「JA」をより深く知ってもらい、農業を応援してもらえるよう各種キャンペーンを実施しました。また、5月に新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類に移行され、4年ぶりに農業祭・ふれあいまつりを各地で開催するなど、対面による「ふれあい活動」の強化に取り組み、「第9次中期経営計画」の基本目標である「持続可能な地域農業の実現」「活力ある地域共生社会の実現に向けた組合員・地域との結び付きの強化」「協同組合としての持続的な役割発揮と経営基盤の確立・強化」に役職員一丸となって取り組みました。
営農面では、第7次営農振興計画の基本目標である「持続可能な地域農業の実現」に向けて、JAグループ広島とともに、経営コンサルタントによる農業法人への分析調査に基づく改善提案など、専門性の高い農業経営支援に取り組むとともに、広島県による「肥料価格高騰緊急対策事業」、広島市による「農業経営継続緊急対策事業」「農業用省エネ機器等導入支援事業」、北広島町による「肥料価格高騰対策支援事業」の申請支援に取り組み、JA広島市においても、令和4年度に引き続き、独自の「資材高騰に伴う支援策」を実施しました。農業者の所得増大に向けた取組強化については、JA広島市管内の主要品目野菜(こまつな、トマト、えだまめ)を中心に、契約販売やリレー出荷、加工品の開発など販路の確保と販売高の増加に取り組みました。
事業面においては、令和5年度から、5支店に相談専門担当者を常駐させ、出向く相談対応を積極的に展開し、組合員の立場に立った相談業務の取り組みを強化するとともに、組合員・利用者の多様化するニーズに対応し、提案を軸とした事業展開を実践しました。また、新たに「支店ふれあい活動コンクール」を開催し、優良事例の共有化への取り組みを始めるなど、組合員・地域のみなさまの意見を反映した支店運営および「支店ふれあい活動」の充実を図りました。事業高実績については、販売品取扱高、購買品取扱高について計画を達成するとともに、自主運用力の強化に向けて取り組んだ貸出金については135億円の純増、投資信託販売額は65億円と計画を達成し、事業利益は6億5百万円、当期剰余金は3億89百万円を計上することができました。これもひとえに、総代をはじめとする組合員や地域のみなさまのご理解とご協力の賜物と厚くお礼申し上げます。
令和6年度は、「第9次中期経営計画」および「第7次営農振興計画」の最終年度として、掲げた目標の達成に取り組むとともに、第30回JA広島県大会の開催が予定されており、新たな課題を明確にしたうえで次期中期経営計画の策定に向け取り組んでまいります。
「組合員・地域に必要とされるJA広島市」の実現に向け、「『持続可能な地域農業と総合事業』の更なる展開」により、協同組合としての使命と役割を発揮してまいりますので、組合員のみなさまのより一層のご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。
広島市農業協同組合
代表理事組合長 吉川 清二
経営主要目標
次の事項を令和6年度の主要目標とし、取り組んでまいります。
1.持続可能な地域農業の実現
(1)地域の特性に応じた営農振興
(2)農業者の所得増大に向けた取組強化
(3)農地の維持・保全と次世代対策
2.活力ある地域共生社会の実現に向けた組合員・地域との結び付きの強化
(1)組合員のアクティブメンバーシップの確立と支店を拠点とした地域活性化活動
(2)多様化する組合員ニーズに応じたサービスの提供
(3)食育等を通じた、「農」への理解醸成による新たなJAファンづくり
(4)広報活動の充実による事業・活動の「見える化」
3.協同組合としての持続的な役割発揮と経営基盤の確立・強化
(1)コンプライアンス態勢の強化
(2)「総合事業」の特性のさらなる発揮
(3)持続可能な経営基盤の確立
(4)専門性の高い部門別の人材育成と仕組みづくり
JA広島市の概要
設立 | 平成5年4月1日 | |
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出資金 | 10,682百万円 | |
代表者 | 代表理事組合長 吉川 清二 | |
本店所在地 | 〒731-0122 広島県広島市安佐南区中筋3-26-16 TEL 082-831-5500(代) |
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組合員数 | 118,845名(正13,287名、准105,558名) | |
職員数 | 666名(令和6年4月1日現在) | |
事業内容 | 信用 | 貯金、融資、為替など |
共済(保険) | 生命共済、火災共済、自動車共済など | |
購買 | 肥料、農薬、生活用品など | |
販売 | 米、果実、野菜、その他 | |
営農指導 | 営農支援など | |
生活相談 | 生活相談・支援など | |
資産管理 | 資産活用相談など | |
旅行 | 旅行の企画、手配、添乗など | |
葬祭 | 葬祭業務 | |
養鶏鶏卵 | 鶏卵販売、物流 | |
農機車輌・SS | 農機修理、販売、SS事業 | |
広島菜漬 | 広島菜漬加工事業 | |
店舗 | 中区、東区、南区、西区、安佐南区、安佐北区、安芸区、佐伯区、安芸郡府中町、廿日市市(佐方、佐方本町、山陽園、城内)、山県郡(安芸太田町、北広島町)の32店舗 | |
貯金残高 | 631,456百万円 | |
貸出金残高 | 186,386百万円 | |
長期共済保有高 | 912,597百万円 | |
年金共済保有高 | 25,440百万円 |
※数値実績については令和6年3月31日現在のもの
JA広島市の理念
経営理念
JA広島市は、農業と生活設計におけるアドバイスとサポートという事業を通じ、地域の暮らしに確かさと彩りをつくります。
経営方針
(1)地域農業の持続的発展と農業を通じた環境保全に取り組みます。
- 自立的、持続性のある地域農業の振興に向け、多彩な自然条件を有する特性ある立地条件、環境を存分に生かした、特色ある農業の産地づくりに取り組みます。
- 生産者と消費者、農村と都市をひとつにつなぎ、地産地消を柱とした農業振興を図ります。
- 安全・安心な農畜産物の提供による健全な食文化の形成に努めます。
- 農が持つ多面的機能を通じて水・緑など豊かな自然環境を次世代に継承します。
(2)心豊かで健康な暮らしと活力ある地域社会づくりに貢献します。
- 地域に開かれたJAとして、人や地域との関わり合いを大切にし、みなさまの「声」を広く事業に反映させるとともに、参加と共感による「人の輪」を広げる活動を推進します。
- 地域密着を基本に、生活シーンに対応したサービスの提供と健康・福祉・文化活動などJAらしい総合事業の特性を生かした多面的な事業の展開により、豊かで安心して暮らせる明るい社会づくりや地域の環境、文化、健康、福祉に貢献し、みなさまから心強い存在として頼りにしていただけるJAを目指します。
(3)経営基盤の一層の強化と健全性の向上に取り組みます。
- みなさまからの信頼と期待に応えるため、ガバナンス(企業統治)の強化に向け、業務執行体制やリスク管理態勢、コンプライアンス態勢をさらに充実、強化します。
- 運営にあたっては、合理的、効率的な運営と収益構造の改善によりスリムで強靭な財務基盤を構築し、経営の健全性を高めるとともに、情報開示などを進め経営の透明性を高めます。
- 環境の変化に柔軟に対応するだけでなく、変化を予測し積極的に新しいものを取り入れる活力に富んだ組織を目指します。
第9次中期経営計画、第7次営農振興計画
JA広島市では、第8次中期経営計画、及び第6次営農振興計画の総括や課題、第29回JA広島県大会の決議事項等を踏まえたなかで、『「持続可能な地域農業と総合事業」の更なる展開』をテーマとし、今後3ヵ年で重点的に取り組むべき事項を第9次中期経営計画、及び第7次営農振興計画に織り込みました。JA広島市は、組合員や地域のみなさまから信頼され、必要とされる存在となることを目指し、今後3年間、この計画にもとづき、役職員が一丸となって取り組んでまいります。
テーマ
「持続可能な地域農業と総合事業」の更なる展開
~ 心豊かで健康な暮らしと活力のある地域共生社会づくりに貢献 ~
基本目標(1)持続可能な地域農業の実現(第7次営農振興計画で実践)
重点取組事項
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地域の特性に応じた営農振興
地域毎の特性や将来を見据えて作成した「地域別農業振興プラン」において、その作成過程で明確となった各地域の課題解消を図るとともに、生産者台帳を活用した作付提案を行い、生産量の拡大に取り組みます。また、老朽化が進む施設・設備は、収益分析に基づく課題を整理し、事業のあり方や必要な施設更新を踏まえた利益計画を作成し、実践します。
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農業者の所得増大に向けた取組強化
「地域別農業振興プラン」における「品目別振興方策」にもとづき、より一層のブランド化や認知度向上による農業者の所得増大に取り組みます。また、生産の「低コスト技術」、購買の「銘柄集約による生産資材の価格低減」等を組み合わせた「トータルコスト低減」に取り組みます。
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農地の維持・保全と次世代対策
土壌分析に基づいた地力増進への取り組みを継続して行うとともに、行政と連携して、遊休農地の解消や有害鳥獣被害対策、生産緑地制度等の活用により都市農業の存続に取り組みます。また、担い手育成事業等を活用した新たな担い手の確保と事業承継による後継者の育成を継続的・総合的に支援し、生産基盤の維持拡大を図ります。
基本目標(2)活力ある地域共生社会の実現に向けた組合員・地域との結び付きの強化
重点取組事項
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組合員のアクティブメンバーシップ(注)の確立と支店を拠点とした地域活性化活動
支店ふれあい委員会などで出された有用で実施可能な意見や要望は、支店の運営に反映させる流れを定着させ、みなさまの声を聴き、声に応える運営に取り組みます。また、支店を活動拠点とする組合員組織の活性化を図るとともに、地域のイベント等にも積極的に参加し、JA活動への参画の輪の拡大と地域の活性化にも貢献していきます。
(注釈)アクティブメンバーシップ:組合員が「わがJA」の意識をもち、積極的に組合の事業利用や協同活動に参画すること -
多様化する組合員ニーズに応じたサービスの提供
多様化する組合員ニーズに対応するため、ライフステージに応じた商品・サービスを複合的に提案することにより、組合員満足度の向上に取り組みます。年金や相続をはじめとした暮らしに係る様々な不安や疑問に対しては、支店と本店が一体となって解決策を提案するなど、組合員や地域のみなさまに、心豊かに安心して暮らしていただけるよう取り組みます。
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食育等を通じた、「農」への理解醸成による新たなJAファンづくり
農林水産業の持つ多面的な役割や「地産地消」への理解醸成は、SDGsにつながる取り組みであるとともに、地域に根ざした農業協同組合としての重要な取り組みであることから、農業祭や出張講義、農業体験旅行、料理教室、食農教育活動など、あらゆる機会を通じて「農」や「食」に関する情報発信を行い、「農」への理解や次世代層などの新たなファンづくりに取り組みます。
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広報活動の充実による事業・活動の「見える化」
パブリシティ(注1)や広報誌、支店広報紙、インターネットなど、ICT技術(注2)を含む、さまざまな方法を用いて広報活動を充実させ、「農」や「JA」についてのほか、各事業における現在の取り組みや支店の状況等が分かるよう積極的に情報を発信し、JAへの理解促進に取り組みます。
(注釈1)パブリシティ:新聞・雑誌・テレビ・ラジオ等に情報を提供し、記事または報道してもらう広報活動のこと
(注釈2)IT(情報技術)に、通信を加えた「情報通信技術」のこと
基本目標(3)協同組合としての持続的な役割発揮と経営基盤の確立・強化
重点取組事項
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コンプライアンス態勢の強化
不祥事案等の発生は、これまで築き上げてきた組合員や利用者のみなさまからの信頼を一挙に失うことに繋がりかねないため、法令等遵守態勢及び不祥事未然防止態勢の確立や内部管理態勢の充実に取り組むとともに、コンプライアンスについては、職員一人ひとりがコンプライアンスを真に理解し、定着している状況を目指し、コンプライアンス・プログラム等に取り組みます。
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「総合事業」の特性のさらなる発揮
ライフイベントに適した提案活動を実践するとともに、組合員資産の有効活用や次世代への円滑な資産承継に向けた取り組みを進めます。事業の推進にあたっては、本支店をあわせた各部門が有機的に連携して事業を実践するとともに、事業の実践にあたっては、店舗再編で整備した「出向く体制」での動向を検証しながら、必要に応じて修正を加え、より効果的な活動となるよう進めていきます。
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持続可能な経営基盤の確立
実施した店舗再編の効果を定期的に検証しながら、機動性の高い、効果的な事業運営の実践に取り組みます。また、営農経済・施設事業の収支改善に取り組むとともに、事業採算性と高い必然性の観点から、事業や業務の棚卸しを実施して見直しを行い、効率的な運営を進めていきます。そして、収支改善の取り組みと積極的な推進活動により目標利益を確保し、内部留保の積上げや出資増強運動により自己資本を増強し、強固な財務基盤を構築します。
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専門性の高い部門別の人材育成と仕組みづくり
業務の専門性の高度化が進むなか、求められるサービスを、迅速、かつ適正に対処していくため、職員一人ひとりの業務スキルを向上させ高位平準化を図るとともに、部門別の育成方針を設定し、高い専門性を持つ職員の育成強化や確保に取り組みます。また、あわせてJAの将来を担う人材の育成にも取り組みます。